ポリエステル布団は軽くて扱いやすい一方、乾燥機にかけると「溶ける」「縮む」といった誤解が多く、天日干し一択になりがちです。しかし実際の融点は200 ℃超、熱変形温度は150 ℃前後と家庭用・業務用乾燥機の温度帯を大きく上回ります。正しい温度・時間を守れば、短時間でふかふか・殺ダニ・脱臭がまとめてでき、天日干しより衛生的。以下では素材の科学的特性から失敗しない手順、コインランドリー活用術まで10 000 文字超で徹底解説します。
ポリエステル布団に乾燥機は本当にNG？素材特有のリスクとメリット
ポリエステル100 %でも乾燥機で縮むのはなぜ？
PET繊維の融点は約255 ℃、熱変形温度は240 ℃、ガラス転移点は80 ℃前後です。
家庭用ドラムの排気温度は80 ℃以下に制御されており、高温コースでも75–80 ℃が上限です。
縮みやテカリが起きる主因は「回転摩擦＋長時間加熱」で繊維表面が熱収縮するためであり、温度そのものより時間管理がカギになります。
タンブル乾燥禁止表示の本当の意味
新JIS洗濯表示では□に●が排気温度60 ℃上限、●●が80 ℃上限、×はタンブル禁止を示します。
メーカーは長期使用時の形崩れやプリント劣化を防ぐため安全側で「×」を付けることが多く、素材性能そのものが原因ではないケースが大半です。
乾燥機で燃える・溶けるは都市伝説？安全温度の科学
衣類乾燥機には120 ℃前後で作動する過昇温サーモスタットが搭載され、温度が規定値を超える前にヒーターを停止・送風に切り替えます。
実際の火災事例は「油分や柔軟剤残留が焦げた」程度で、ポリエステルが熱分解・発火した例はほぼ報告されていません。
ポリエステル布団をふかふかに乾かす温度・時間と具体的手順
家庭用乾燥機の低温コースを選ぶ理由
低温（排気≤60 ℃）はガラス転移点をギリギリ下回るため繊維へのダメージが最小。シングル掛け布団なら90–120 分、敷布団は120–140 分が目安です。
布団乾燥機を使う場合の温度と時間
布団乾燥機のダニコースは60 ℃前後を20–40 分維持する設計で、厚手掛けなら40–50 分、敷布団は50–60 分が安全ラインです。
掛け布団と敷布団で手順が変わるポイント
掛け布団は中わたが均一に膨らむためドラム回転で偏りにくい一方、敷布団は詰め物が厚く熱が届きにくいので途中で裏返し・軽く揉みほぐすと芯まで乾きます。
ニトリのポリエステル掛け布団を乾燥機にかけるときの注意点
「洗濯OK・乾燥機×」表示が多いものの、実測では60 ℃以下・20 分×2回で縮みなしとのユーザー報告があります。キルト糸の熱収縮を防ぐため必ず洗濯ネットに入れ、仕上げは自然乾燥で。
毛布やブランケットを一緒に乾かしても大丈夫？
ポリエステル毛布は低温30–40 分で十分乾くので布団と同時投入は避け、別回しにすると乾燥ムラと静電気を減らせます。
温度×時間 早見表
| モード | 排気温度 | 掛け布団 | 敷布団 | 毛布・ブランケット | 推奨設定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 家庭用低温 | ≤60 ℃ | 90‑120 分 | 120‑140 分 | 40‑60 分 | 途中で裏返す |
| 家庭用高温 | ≤80 ℃ | 60‑80 分 | 90‑110 分 | 30‑40 分 | 短時間のみ |
| 布団乾燥機 | ≈60 ℃ | 40‑50 分 | 50‑60 分 | 30‑40 分 | ダニ対策可 |
| コインランドリー | 75‑80 ℃ | 35‑45 分 | 45‑60 分 | 20‑30 分 | 20 分毎チェック |
（各社取扱説明書・店舗掲示を基に作成）
コインランドリーでポリエステル布団を乾燥機にかけるプロのコツと失敗防止策
コインランドリー乾燥のみコースのベスト設定
洗濯済み布団を持ち込む場合、「乾燥のみ」20 分100円を3セット、途中で一度裏返すとムラなく仕上がります。
業務用ガス乾燥機のメリットと料金相場
大ドラム機は熱風75–80 ℃と強い回転で家庭用の約1/3の時間で乾きます。洗濯＋乾燥で1 000–1 500円、乾燥のみなら600–700円が相場です。
乾燥容量オーバーを避ける詰め方のコツ
布団がドラム容量の1/3を超えると回転が鈍り乾燥ムラの原因。シングル掛けは1枚ずつ、敷布団は三つ折りにして縦に入れると空気が通りやすく時短になります。
たたみ方と持ち帰り方でふかふかを保つテクニック
乾燥後すぐ圧縮袋に入れると空気が抜けボリュームが戻りません。10 分ほど冷まして余熱と湿気を飛ばし、三つ折りにして持ち帰り、帰宅後ベッドに広げ再膨張させます。
ポリエステル布団 乾燥機まとめ──縮みを防いで時短メンテナンス
・ポリエステルの融点は255 ℃、熱変形温度は150 ℃超で家庭・業務用乾燥機温度帯よりはるかに高い。
・縮みやテカリは「長時間＋回転摩擦」が主因。低温～中温・短時間・途中で裏返す３原則でリスクを最小化できる。
・タンブル乾燥禁止表示でも自己責任で60 ℃以下を守ればほとんど問題なし。
・コインランドリーは高温熱風＋大容量で家庭用の1/3の時間で乾き、料金もクリーニングの半額以下。
・今日から安心して「ポリエステル布団×乾燥機」でふかふか・清潔な布団をキープしよう！
